X68000 改造。
$Id: kaizou.html,v 1.12 2002/02/09 13:36:41 isaki Exp $

ここではお約束の改造 + 周辺機器について書きます。 せっかくやったんで記録は残しとかないとね。 一部写真はレイアウトだけでまだ準備できてません。 ですます調とである調が統一されていませんが校正がすんでないためです。


目次
1997年:

SxSI

うちの X68000 は PRO-II で標準では SASI ポートしかついてないので、 世に出ている大半のハードディスクを接続するには有無を言わさず SxSI のお力を借りることになります。

「世に出ている大半のハードディスク」が IDE なのは つい最近の話なのだよ、若者諸君...。
SxSI については X68000 ユーザなら当然知っていると思いますが X68000 ユーザでない人のために説明すると、 SxSI とはセクシーと読むらしく、 SASI ポートで SCSI 機器を使えるようにするソフトです。 SCSI には SASI になかった機能がいくつか追加されており その一つにパリティがあります。 パリティが一致しないとデータの転送が行えないため、 SCSI 機器側でパリティチェックを外せる機種を使うか パリティ発生回路を本体と SCSI 機器の間に挟むかする必要があります。

SxSI で必要なことは、パリティ発生回路を本体の SASI バスと SCSI 機器の間に挟むことです。 パリティ発生回路は SxSI のマニュアルなんかに書いてある通り、 TTL IC 3個程度と趣味の電子工作レベルで出来ます。 SxSI のマニュアルには「簡単なので本体内に内蔵した」とか書いてありましたが、 あんな狭い所でピンをカットしたり半田付けしたりするのは 私のレベルではどう考えても不可能なので、外付けすることにしました。 つまり「パリティ発生回路付き SCSI 延長ケーブル」みたいなもんです。 これを作った当時は、まだ半田ゴテを買って間もない頃だったので ものすごくしょぼい作品に仕上がってます。 しかも SCSI って高速 = 高周波だからと思って ガラスエポキシの基板を使ってます。あほですね(笑)。 普通の基板でも全然大丈夫です。 [パリティ発生回路: Now printing]


1998年2月:

クロックアップ

いつぞやに Xellent30PRO を購入しました。 X68000-10MHz と比べて、 MPU べったりのベンチマークでは 400%、 全体的には 220% は出るものの 体感速度で 120% そこそこという感じで 物足りなかったので、リニアに効いてくるであろう クロックアップを行うことにしました。 まあ X68000 の世界じゃ常套手段ですが。

ちなみに、今流行りの倍率のディップスイッチ変えて クロック上げるなんつーのはクロックアップとは呼ばないね。 そんなの、オシレータ買ってきて 半田ゴテ持って本体に傷付けてまでクロックを上げてた 先人に対して失礼だ。

私が X68000 を触るようになった頃はちょうど バッ活がゲームラボに変わったころだったので、 バッ活のクロックアップ記事を読んだことはなく 参考にしたのはゲームラボ95年12月号の「激貧68購入計画」 の記事のみです。ああ、いいタイトルだ(笑)。 で、先輩 が遊びに来た時に合宿して執行しました (ってこの時何しに来たんだっけ)。 なので、本体基板の部品をカットするような 重要な所は結局先輩にやってもらったので、 うちはあんまり何もしてないですね。 ユニバーサル基板に TTL IC 3つほどのクロック切り替え回路を 組むわけですが、 これ自体は図面書いてその通りに半田付けすればいいだけです。

ちなみに今回は 12.5 MHz へのクロックアップにしました。 030 使用時は 25MHz ね。理由は簡単。 広島には 50MHz のオシレータまでしかおいてなかったから。(;_;

問題は電源と切り替えスイッチとクロック供給用の線、 更にその基板の配置場所。 うちの PRO は HD 内蔵タイプじゃないから 基板への電源供給は、X68000 本体の内部の電源ケーブルのうち 内蔵 HD 用の線をカットして使用した。 クロック切り替えスイッチは、本体後部 RS-232C コネクタの上 あたりにある FG のネジを外してそこにつけた。 なんか計ったようにぴったりはまったんだけど、 規格モノだったのかしら(笑)。

で、問題その1のクロック供給線。本体基板からくる 40MHz の クロック線と、ユニバーサル基板から本体基板へのクロック線の 2本があるんだけど、深く考えてなかったので普通の配線材で配線した。

問題その2のこの基板の配置場所なんだけど、 PRO を空けたことのある人なら分かると思うけど クロック取り出し用にカットする部品のすぐ近くに 1MB 増設 RAM があって、そいつには補強用(?)の つっかえ棒があるのでこいつに絶縁テープでくっつけた。

さて、緊張の電源投入。だったと思うんだけど なんせ約3年前のことを書いてるので覚えてないよなあ。 いざ起動してみると、回路が全く動作していないようだった。 テスタであれこれ計ってみるとどうやら3つ目の IC、 74LS157 が動いていない。 手もとに 74LS157 の資料はなく、 大学は休業期で夜もふけているので図書館も閉まっている。 そもそも連休なので今日も明日も図書館はお休みだ。トリプルパンチ。 インターネットに接続しようにも その PRO 君はまさに手術台の上なのでなす術もなく、 勘というか IC のピン配置の法則だけを頼りに 4セットあるはずの別のセットも試してみることにする。 しかしどのセットも動作しない。

LS157 は 16pin の IC だ。私が持っているゲームラボの記事には 1=SW, 8=GND, 9=3Y, 10=3A, 11=3B とだけ書いてある。 こっから想像するに LS157 の配置は
         +--v--+
 SW   1 [|     |] 16  Vcc
 1B   2 [|     |] 15  ??
 1A   3 [|     |] 14  4B
 1Y   4 [|     |] 13  4A
 2B   5 [|     |] 12  4Y
 2A   6 [|     |] 11  3B
 2Y   7 [|     |] 10  3A
 GND  8 [|     |]  9  3Y
         +-----+
と想像できる。15番だけ分からないけど。
結局 IC が壊れているのだろうということで、 徹夜して翌日広島に行って買い直すことにした。

広島市内にて LS157 を買い直して来て、再チャレンジするが またもや動作しない。 これはおかしい。大した衝撃も熱も静電気も与えているとは思えないのに…。

更に翌日やっと図書館が開いたので、調べに行った。

しかし ``例の'' CQ 出版の TTL IC 規格表がおいてないのは 何故だ、広島大学工学部附属図書館!
やっと IC の規格を書いてある本を見つけて読むと、 なんと、不明だった15ピンが !ENABLE だったのだ。 それを GND に落とさないと動作しないのね。 ちゃんちゃん。 ということで、めでたく LS157 が動作しました。

いざ、起動してみると 12.5MHz の方は動作するんだけど、 10MHz の方が動作しない。

ちなみにこんな感じ。
ユニバーサル基板                     本体基板
-----------------------+
                       |
         +-------+     |                 To MPU
         | LS157 |     |                 |
         |       | -------------------→ ○
 50MHz →|       |     |                    FN2
         |       | ←------------------- ○
                       |                 |
                       |                 40MHz OSC
基板の配線には問題がなさそうだし、12.5MHz の方は動作する (上図参照) ということから考えて原因は、 40MHz の信号が流れるのに普通の(いや普通以下の)配線材で 空中を 30cm (15cm×2) も引き回したことだろう。 50MHz の信号は 15cm×1 しか流れないので OK だったと。 う〜ん素人ってすばらしい(笑)。


????年??月:

マウスの左ボタンの修理

ある日、辞書の整理をするために SX-Window を立ち上げて作業してたら、 急にマウスの左ボタンが効かなくなりました。 SX-Window はマウスからでなければ終了できないので その場は泣く泣くリセットしました。 マウスを開けて、左ボタンの下にあるスイッチにテスタをあててみる。 あーあ、壊れてる。

ここで出番なのが、500円のコンデンサ1袋。 コンデンサだけでなく小型のスイッチなんかも混ざってる。 ジャンカーなら当然持ってるよね。 広島だと、銀山町の松本無線 4F のジャンク屋さんで売ってます。 その中の似た形のスイッチに付け替えてみた。 似た形と思ってつけたんだけどぴったり同じだったらしく 高さの調整すらせずに使えるようになった。 万歳。


2000年11月:

PRO-II の ATX 電源化 + クロックアップの修理

ある日うちに帰っていつも通りに X68000 を起動し、 メールを取り込もうと思って ppp 接続した。 大体30秒くらいかかるので、その間は隣においてある テレビを眺めていた。 すると突然 X68000 ユーザなら分かると思うけど 入力信号が切れてディスプレイが TV モードに切り替わるリレーの音がした。 心なしか電源の音も小さくなったような気がするが 電源ランプはついている。 ディスプレイをコンピュータ画面に切り替えても何も表示されていない。 むう。訳が分からん。 とりあえずリセットするが起動せず...。 ついに逝ってしまわれたかと思いつつ電源を切ってコンセントを抜く。 5分後、パソコン中毒でパソコンがないとすることのない私は 再び電源を入れてみる。 すると今度は無事起動した。よかったよかった。

しかし、その数日後、再びモデム使用中に本体の電源が落ちた。 めげずに使っていたが、今度はハードディスクにアクセスした 瞬間に電源が落ちたので恐くなってついにあきらめた。

これが噂に聞く電源ユニットの中のダイオードの寿命というやつだろう。 本体の中の電源ユニットを開けてみると確かに ダイオードらしい部品とその周辺が焦げている。 よくこんな状態でしばらく使ってたなあ。恐い恐い。
焦げた電源基板 トランスの手前の D51 と D53 の間あたりね。 下に敷いてある紙は気にしないでください。 学内で独立行政法人か何かに反対してる学生たちが配ってたビラを 要らないから下敷にしてただけ。

X68k の電源の寿命問題はこの世界ではかなり有名な問題で すでに多くの人が修理のための記事を書いて下さっているので、 それを参照するだけで簡単に修理できる。 ここでは最も簡単そうな ATX 電源化で復旧させることにした。 ATX 電源化には NOT 回路が一つ必要なので、 本体内部に基板をもたせる必要があるんだけど うちの場合はすでにクロック切替え回路の基板が本体内に ビニールテープで固定されているので、そいつの空きスペースに 載せることにした。 ついでに 10MHz の方が動作しない問題も直すことにした。
以前のクロック切替え基板 これが以前のクロック切替え基板。1MB増設RAMのつっかえ棒(?)にテープで 張り付けてある。さすが素人工事。

以前作ったクロック切替え基板の下書きと基板自体を眺めると なんとぴったり 14 ピン IC が収まるスペースがあいていたので そこに 74LS04 を置いて電源や信号線を配線する。 基板から伸びる信号線がばらばらに出ててさらに本数も増えてきたので 耐久性と今後のメンテナンス性も考えて、 今回はそれらの信号線すべてをソケットにした。
新クロック切替え/電源信号変換基板 新クロック切替え/電源信号変換基板、裏側 新クロック切替え/電源信号変換基板 手前の 74LS04 が電源信号切替え用、他がクロック切替え用の回路。 左側の10ピンソケットが電源や信号線用、右側の2ピンx2が クロック用。

今回使用した ATX 電源は普通の大きさの ATX 電源だったので PRO の本体にすら内蔵できず、仕方なく外づけ電源にした。 ATX 電源は単品で使いまわしが利くようにしたかったため ATX 電源(のケーブル)には一切傷をつけない方針にし、 そのため(とどうせ長さ的に無理があるから) ATX 電源の 延長ケーブルを購入した。Sofmap で 800 円くらいだったかな。 その後道を挟んですぐ隣の T-Zone にいくと 750 円くらいだった。 ショック(笑)。

その延長ケーブルをざっくり切って本体の電源ケーブルと接合して テープでぐるぐる巻きにしたもの。ちょっと気取って ケーブルと同じ色のビニールテープを揃えたつもりだったのに よく考えたらATX 延長ケーブルの色と本体内蔵ケーブルの色が 違ってて意味がなかったらしい(笑)。
電源線

以前のクロック切替え回路だと空中を這わせているクロック供給線に シールドも何もしてなくてオリジナルクロック(10MHz) の方が 動作しなかったので、今回はついでなのでシールドしてみる。 手元にあったジャンクケーブルの中にシールドケーブルがあったので それを15cmくらいに切って使う。絶縁のためにビニールテープで巻いて おく。こんなんでいいんだろうか。
クロック供給線 クロック供給線の付け根 黒い線がソースに近い方、ちなみに付け根のすぐ右側にある銀色の 長方形なのがオリジナルの40MHzオシレータ。

で、あとは取り付け。
取付後1 取付後2

めでたし。めでたし。


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